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コードバンに水は厳禁|革製品のタブーと濡れた時の対策紹介

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コードバンに水は厳禁です!!!

これは革好きの言い伝えではなく、コードバンを仕上げている会社が自分の商品ページに書いている注意書きです。

とはいえ「厳禁」で終わると、買う前の人は怖くなるだけですし、もう持っている人は雨の日に困るだけです。この記事では、なぜ厳禁なのか、水が付くと何が起きるのか、起きてしまった跡は戻るのか、の順に整理します。

あわせて、水以外に革製品でやってはいけないことと、濡れた直後の手順も置きました。

最後に、水と付き合いやすいコードバンの財布を1点だけ挙げます。水に弱い革だからこそ、作り手と形で選ぶと失敗しません。

目次

コードバンに水は厳禁です

コードバンの染色と仕上げを手がける有限会社レーデルオガワが、自社ブランドUNIQUEONの商品ページに載せている注意書きです。

「高温多湿な場所での使用や雨・汗による水分の付着の際は、退色・変形・ブクによる跡が発生する事がありますのでお気を付けください」

雨だけではなく、汗と湿気まで挙げています。

しかも起きることが3つ、

  1. 色が抜ける
  2. 形が変わる
  3. ブク(水ぶくれ)の跡が残る

「水に強いコードバン」を探しても見つからない理由

同じ会社の説明によると、コードバンの仕上げは大きく分けて4種類あります。

油分を含ませたオイル仕上げ、水性の染料だけで染めるアニリン染め、顔料と樹脂で塗膜を作る顔料仕上げ、その中間の2段染めです。

このうち水に強いのは顔料仕上げだけで、昔からランドセルに使われてきた種類です。

塗膜があるぶん、艶は革そのものの艶ではなく塗膜の艶になります。オイル仕上げとアニリン染めは塗膜がなく、繊維に直接触れられるから艶が育つ代わりに、水も直接届きます。

アニリン染めは、使い始めだけ薄いコーティングで少し水を弾きますが、3か月ほどで取れていく仕様だと公式が明記しています。

コードバンという素材についてに、そのまま書かれています。艶を取るか、水への強さを取るか。コードバンは最初からそういう革です。

なぜコードバンに水が厳禁なのか

理由は、艶の作り方にあります。

コードバンは馬のお尻の、皮の内側にあるコードバン層だけを削り出した革です。この層のコラーゲン繊維は、牛革のように網目に絡んでおらず、竹のように縦に並んでいます。

仕上げでは、この縦の繊維を横に寝かせて、圧をかけて押し固めます。表面の凹凸がなくなって光が安定して反射するので、宝石のような透き通った艶が出ます。

レーデルオガワのお手入れの解説には、こう書かれています。

縦の繊維を横に寝かしつけて圧縮させているので、そこに液体を垂らすと寝ている繊維が起き上がり、圧縮がほどけて艶がなくなる。

水が厳禁なのは、革が腐るからでも、色が落ちるからだけでもありません。

艶を作っている「寝かせた繊維」が、水で立ち上がってしまうからです。コードバンの美しさと水への弱さは、同じ構造から来ています。

牛革との違い

牛革の財布は、表面に銀面と呼ばれる薄い膜があります。

水が付いてもまず膜が受け止めるので、跡はシミとして残りやすい一方、膨らむことは少ないです。コードバンには銀面がありません。

繊維の層をそのまま磨いているので、水が届いた場所だけ繊維が起きて、周りより高くなります。これが、コードバンだけが「膨らむ」理由です。

水が付くとどうなるのか

起きること見た目いつ出るか
ブク(銀浮き・水ぶくれ)水滴の形に、表面がぷくっと盛り上がる濡れてから乾くまでの間
艶が消えるその部分だけ光らず、白っぽくざらつく乾いた直後
色が抜ける・濃くなる点や輪の形で色が変わる乾いてから
形が変わる濡れたまま乾くと、反りや波打ちが残る中身を入れたまま乾かしたとき

「銀浮き」と「水ぶくれ」と「ブク」は同じもの

呼び方が3つあるので、先にそろえておきます。

靴の世界では銀浮き、財布の世界では水ぶくれ、レーデルオガワはブクと呼びます。どれも、水で繊維が起き上がって表面が盛り上がった状態のことです。

厳密には、コードバンには銀面がないので銀浮きという言葉は当てはまらないのですが、検索でも会話でもそう呼ばれているので、この記事でも銀浮きと書きます。

縁と内側は、表面より先に傷みます

見落とされやすいのが、財布の縁です。

断面を磨いて仕上げてある部分をコバと呼びます。コバは革の断面なので、表面より水を吸います。濡れたまま乾くと、めくれやひび割れの入り口になります。

内側も別扱いです。内装には牛のヌメ革や布が使われていることが多く、ヌメ革は水を吸うと色が濃くなって、そのまま定着することがあります。

外は無事でも中が濡れている、ということは珍しくありません。

銀浮きは直る?

軽いものは直ります。乾いて固まった広い範囲は、難しくなります。

まず、2週間そのまま使ってみる

乾いた翌日に何かをする必要はありません。

手で触れる場所は、手の脂と摩擦で少しずつ艶が戻ります。数週間から数か月かけて、周りとなじんでいきます。乾いた直後にいちばん目立ち、そこから薄くなっていくのが銀浮きの普通の経過です。

それでも残るときの直し方

銀浮きは「起き上がった繊維」なので、直すというのは「もう一度寝かせる」ことです。手順は革の店や修理店が公開しているものがいくつかありますが、考え方は共通しています。

手順やること意味
1革用のクリームを面全体に薄く塗り、乾くまで置く水で崩れた油分を戻し、繊維を柔らかくする
2盛り上がった部分を、先の丸い棒やクリームの瓶の角で、円を描くように押さえる起きた繊維を寝かせる
3もう一度クリームを薄く塗って、乾かす寝かせた状態を落ち着かせる
4馬毛のブラシで余分なクリームを払い、柔らかい布で磨く反射をそろえる

2の道具は、かっさ棒、レザースティック、水牛の角など、先が丸くて滑らかなものなら何でも構いません。削るのではなく、押して寝かせるのが目的です。力を入れて擦ると、今度は表面が荒れます。

財布の外側の平らな面なら、この手順で目立たなくなることが多いです。折り目の上や、コバに近い部分は、押さえにくいぶん戻りにくくなります。

直らないのは、こういうとき

広い面がまだらに変色した。濡れたまま何日も放置して、革が波打った。クリームを塗りすぎて表面が曇った。この3つは、自分で触るほど悪化します。

革製品の修理店か、買った店に相談するのが結果的に早いです。

傷と銀浮きは別物です。傷の直し方はコードバンの傷は補修できる?に分けて書きました。

水のほかに、革製品でやってはいけないこと

コードバンに限らず、革製品全般のタブーです。よかれと思ってやると戻らなくなるものを、理由と一緒に並べます。

やってはいけないこと何が起きるか
水拭き・水洗い型崩れ、水シミ、カビ、ひび割れ。革は大量の水に耐えられない
アルコール消毒・除光液油分が一気に抜けて、色抜けと取れないシミになる
ドライヤー・ストーブ・直射日光で乾かす革が硬くなり、縮んでひび割れる
クリームやオイルの塗りすぎべたつき、カビのえさ、型崩れ、艶が出なくなる
ハンドクリームを付けた手で触る成分が革に移ってシミになる
ビニール袋や密閉容器で保管湿気がこもってカビが出る
尻ポケットに入れたまま座る型崩れ、革の伸び、縫い目の破れ。夏は汗で銀浮きも
コードバンに防水スプレー磨いた艶の上に膜ができて、反射が鈍る

とくに多いのは、上から3つ

水で洗う、アルコールで拭く、ドライヤーで乾かす。

この3つは、手元にあるもので済ませようとして起きます。革は「布に近いもの」ではなく「乾いた皮膚に近いもの」だと思っておくと、判断を間違えません。

皮膚に消毒液とドライヤーを当て続ければ荒れるのと同じです。

コードバンだけ、さらに1つ

コードバンの手入れで避けたいのが、水分や油分の多いクリームをたっぷり塗ることです。

レーデルオガワは、できるだけ水分と油分の少ない固形ワックスを薄く塗り、5分置いて拭き取る方法を勧めています。

理由は同じで、液体が多いと寝かせた繊維が起きるからです。手入れの頻度はコードバンの手入れの頻度は?にまとめました。

濡れた時の対策|失敗しないのは、この3手の順番です

やることは3つしかなく、失敗するのは順番を間違えたときだけです。

  1. 乾いた布で押さえて水を吸わせる。こすらない。
  2. 中身を全部出して、形を整えて置く。
  3. 風の通る日陰で丸1日置く。

クリームもドライヤーも、この段階では出番がありません。

1. 押さえて吸わせる。こすらない

とっさに拭きたくなりますが、こするのがいちばんいけません。

水を含んだ革の表面は柔らかくなっていて、繊維が動きやすい状態です。そこを横に動かすと、艶の面が乱れます。タオルかハンカチを当てて、上から軽く押さえるだけで十分です。

ティッシュを避けるのは、繊維が革の表面に残ることがあるためです。

乾いてから白い毛羽が浮くと、それを取るのにまた表面をこすることになります。拭くときは平らな面だけでなく、縁を指で挟むように押さえてください。コバは表面より水を吸っています。

2. 中身を出して、形を整える

札もカードも小銭も、いったん全部出してください。

濡れたまま中身を入れておくと、革がその形のまま乾いて固まります。とくにカードの角は跡が付きやすく、乾いてから抜いてもその線は簡単には消えません。

出したあとは、軽く開いた状態で置きます。折り目の内側まで空気が通るようにするのが狙いです。

3. 日陰で、丸1日

置き場所は、風が通って直射日光の当たらないところです。

玄関の棚や部屋の隅で構いません。急いで乾かそうとすると、革の中の油分まで一緒に抜けます。抜けた革は硬くなり、ひび割れの元になります。

表面が乾いて見えても中はまだ湿っているので、半日で判断せず丸1日は置いてください。

乾いたあとに、ようやく手入れ

完全に乾いてから、固形のワックスを薄く塗り、5分置いて拭き取ります。

まだ水が残っている状態で塗ると、水を閉じ込める蓋になってシミが定着します。順番を守るだけで、結果がまったく違います。全体の手入れはコードバンのお手入れ方法に書いてあります。

濡らさないための備え

起きてから直すより、起きないようにするほうが楽です。手間のかからないものだけ挙げます。

雨の日は、ズボンの尻ポケットではなく上着の内ポケットに入れる。鞄の中では、傘と同居させず口の閉まる場所に入れる。夏は汗で同じことが起きるので、尻ポケットをやめる。

この3つで、財布が濡れる機会の大半は消えます。

いちばん確実なのは、雨の日用の財布をもう1つ持つことです。安いもので構いません。天気予報で雨と分かっている朝だけ入れ替える。

それだけで、コードバンは雨に当たらなくなります。

コードバンと水について、よくある質問

Q. 防水スプレーをかけておけば安心ですか

コードバンには勧めません。防水スプレーは表面に膜を作るものですが、コードバンは磨いた艶そのものが見どころです。膜がその反射を鈍らせることがあります。

牛革の財布なら使えますが、コードバンは置き場所で守るほうが確実です。

Q. 汚れたら、水で洗ってもいいですか

いけません。革は大量の水に耐えられず、型崩れとカビの原因になります。汚れは乾いた布か、革用のクレンジングで落とします。

それで落ちない汚れは、修理店に相談してください。

Q. 銀浮きを出さないために、毎日できることはありますか

入れる場所を変えるだけです。尻ポケットから内ポケットへ。これで雨と汗の両方から遠ざかります。手入れで防げるものではなく、水に触れさせない工夫で防ぐものです。

Q. 汗はどのくらい影響しますか

雨より厄介です。夏場に尻ポケットへ入れると、汗で同じことが毎日続きます。量は少なくても、繰り返されるぶん跡が深くなります。夏は入れる場所を変えるだけで、傷み方がかなり違います。

それでもコードバンを持つなら、水と付き合いやすいこの1点

水は厳禁。それを分かったうえでコードバンを持つなら、選び方は2つに絞れます。水のことをいちばん知っている作り手であること。

そして、雨と汗から遠い場所に収まる形であること。その2つを両方満たすのが、UNIQUEONのミドルウォレット「アトモスフィア」です。

項目内容
商品名コードバン財布 ミドルウォレット アトモスフィア(Gi MW-102)
定価44,000円(税込)
サイズ縦7.5cm × 横11.5cm × 厚み2cm
表面アニリン染めコードバン
内装イタリア ミネルバボックス(タンニン鞣し)
収納カード8〜12枚、コインスペース1、センターポケット1、サイドスペース2
ファスナーYKK Excella No5

作っているのは、コードバンを仕上げている会社そのものです

UNIQUEONは、コードバンの染色と仕上げを手がける有限会社レーデルオガワのブランドです。

この記事で引いてきた「水で繊維が起きる」という説明も、「固形ワックスを薄く」という手入れ法も、全部この会社が自分の言葉で公開しているものです。

水のことをいちばん分かっている作り手が、その革で財布を作っている。買う側にとって、これ以上の安心はありません。

手入れの道具は、ワックスとクロスの2つに、汚れ落とし用のクレンジングとブラシを足しても4つだけ。手順は、指の腹で薄く塗って、5分置いて、拭き取る。専務が自ら動画で見せています。

手のひらに収まるから、雨と汗から遠い場所に入ります

縦7.5cm、横11.5cm、厚み2cm。ジャケットの内ポケットにそのまま入る大きさです。この記事で何度も書いた「尻ポケットをやめて内ポケットへ」が、財布の形のほうで最初から済んでいます。

小さくても、中身は妥協していません。公式の説明では、カード10枚前後、お札8枚、小銭10枚を入れても余力があります。タッチ決済用のサイドポケットが両側に付いていて、改札も会計も財布を開かずに済みます。

2色で染めた「大気圏」の色は、1つとして同じにならない

アトモスフィアは、ブルーとワインの2色の染料で大気圏をイメージして作られた、UNIQUEONのアイコンカラーです。

2色染めの経年変化は単色とは違い、使う人の生活によって1つずつ別の個体へ育っていく、と公式が書いています。

同じ財布を持つ人がいても、1年後には別の色になっている。そういう財布です。

内装はイタリアの革、ファスナーはYKKの上位グレード

内装のミネルバボックスは、イタリアのタンニン鞣しの革で、コードバンと同じく経年変化を楽しむための革です。ファスナーはYKKのExcella。細かい部品にこそ、作り手の姿勢が出ます。

44,000円で、仕上げ元のコードバンが手に入ります

定価は44,000円。公式ページのレビューには「44,000円の商品とは思えないほどの満足感」という言葉が残っています。

コードバンの財布は5万円から10万円が相場です。作り手が仕上げ元そのもので、この価格。

水は厳禁だと知ったうえで持つなら、最初の1つはここからで間違いありません。

コードバンの仕上げ元が自ら作る財布は、【UNIQUEON-ユニコーン-】の公式サイトで見られます。

まとめ|厳禁なのは水であって、コードバンではありません

コードバンに水は厳禁です。理由は、艶を作っている寝かせた繊維が、水で起き上がるから。起きたものを寝かせ直せば軽い銀浮きは戻り、広く固まったものは店に頼む。

水以外のタブーは8つで、上から3つが特に多い。濡れたら、押さえて、出して、日陰で1日。

ここまで読んで「面倒だ」と思ったなら、その感覚は正しいです。買った日の状態を保ちたい方には、顔料仕上げか合成皮革のほうが気を使わずに済みます。

一方で、雨の跡が半年後に艶へ沈んでいるのを見つけたいなら、これほど面白い革はほかにありません。水と付き合う覚悟が決まったら、作り手と形で選んでください。

その答えが、仕上げ元が作る手のひらサイズの1つです。

【UNIQUEON-ユニコーン-】

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