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コードバンの傷は補修できる?5つの種類ごとに直せる・直せないを分けました

※当ページは広告を含みます

財布をポケットから出したとき、光の加減で細い線が走っているのが見えました。

爪の先ほどの長さです。昨日はなかったはずの線。指でなぞると、わずかに引っかかる感じがあります。買って半年のコードバンでした。

この線が消えるのか、それとも一生残るのか。答えは傷の深さで変わります。

コードバンの傷には、手をかければ戻るものと、何をしても戻らないものがあります。分かれ目は、磨いた表面の層が削れているかどうかです。

まずは、自分の傷がどれに当たるかを見分けるところから始めましょう!

目次

コードバンの傷は、5つに分かれます

ひとくちに傷といっても、起きていることはまるで違います。

種類見え方自分で戻せるか
1. 表面の擦り傷光にかざすと白く曇る◎ ほとんど戻る
2. 表面の層の削れ傷の底が毛羽立ち、色が薄い× 戻らない
3. 水ジミの輪ジミ輪郭のある薄い跡△ 時間でなじむ
4. 角とコバの擦れ縁が白く毛羽立つ○ コバは塗り直せる
5. 深い切り傷革の断面が見える× 触らないほうがいい

このうち、家で手当てして本当に戻せるのは1番だけです。

そして、傷を見つけて検索する方の多くは1番に当たります。慌てて道具を買う前に、まず見分けてください。

手を出す前に、3つ確かめてください

順番を間違えると、戻る傷まで戻らなくなります。確認は1分もかかりません。

1. 光に斜めからかざす

蛍光灯の真下ではなく、窓際で財布を傾けてみてください。

表面の擦り傷は、光の角度によって見えたり消えたりします。角度を変えても同じ濃さで残る線は、表面が削れています。

2. 指の腹でなぞる

爪ではなく、指の腹で触ります。爪だとどんな浅い傷でも引っかかるためです。

つるりと滑るなら浅い傷。はっきりした溝を感じるものは、5番の深い傷になります。

3. 白いものは、粉かもしれません

表面に白いものが浮いている場合、傷ではなく蝋が出てきているだけのことがあります。ブルームと呼ばれる現象です。

柔らかい布で拭いて消えるなら、それは傷ではありません。何もしなくて構いません。

種類1|表面の擦り傷は、ほとんど戻ります

いちばん多く、いちばん心配のいらない傷です。

コードバンは、革の表面である銀面を削り取り、その下にある繊維の詰まった層を出した革です。その面をガラス板や機械で磨き込み、繊維を寝かせて光らせています。

擦れると、寝ていた繊維が起き上がります。光が乱反射して白く曇る。これが擦り傷の正体です。

繊維は切れていません。寝かせ直せば、元の光沢に戻ります。

手当ては3手だけ

  1. 乾いた柔らかい布で、傷に沿って軽く撫でる(10往復ほど)
  2. 指の腹で、傷の上を押さえるように擦る(手の脂がなじみます)
  3. あとは数日、そのまま使う

1と2で7割ほど分からなくなります。残りは、使っているうちに周りとなじみます。

布はネル生地や眼鏡拭きで十分です。専用品を買い足す必要はありません。

クリームは、この段階では使いません

傷を見つけると、クリームを塗りたくなります。ここが最初の分かれ道です。

コードバンは繊維が詰まっていて、クリームをほとんど吸いません。塗った分は表面に残り、白く曇った上に膜を作ります。曇りが余計に目立つことがあります。

乾拭きと指の脂を先に試す。それで足りないときだけ、米粒ほどを薄く。順番はこれです。

種類2|削れてしまった面は、戻りません

正直なところを書きます。磨いた層が削れた傷は、家庭でも専門店でも元通りにはなりません。

鍵やファスナーの金具が強く当たった。机の角に押しつけて引きずった。そういう傷です。傷の底に細かい毛羽が見え、周りより色が薄く見えます。

コードバンの光沢は、削り出した層を磨いて作られたものです。その層が欠けた場所は、いくら磨いても光りません。下から出てくるのは、磨かれていない繊維だからです。

できるのは、目立たなくすることまで

手が届く範囲は2つあります。

  • 同系色のクリームを、傷の部分だけごく薄く置いて色を合わせる
  • 何もせず、周囲の色が濃くなるのを待つ

色を合わせる方は、失敗すると輪郭がはっきりして逆に目立ちます。財布の底など目につかない場所で試してから、傷へ移ってください。

2年ほど使うと、この種の傷はかなり気にならなくなります。周りの艶が深まり、白さが相対的に沈むためです。

どこまで磨き込まれた革かによって、削れにくさも戻り方も変わります。素材そのものを作っている会社が、自分たちで財布まで仕立てている例があります。

磨きの工程を持つ側が、傷とどう向き合って仕上げているのか。その答え合わせは、【UNIQUEON-ユニコーン-】の公式サイトで、革の作り方の説明を読みながらできます。

種類3|輪ジミは、傷ではありません

水が跳ねた跡が、輪郭のある薄い輪として残ることがあります。

これは表面が壊れたのではなく、水が革の中の油分や染料を外側へ押しやった跡です。押しやられた成分が乾いた場所に集まり、境目の輪郭を作ります。

削れてもいませんし、繊維も起きていません。傷とは別の話として扱ってください。

手当ては、なじませる方向で

輪の内側だけを拭いても消えません。輪郭を作っているのは、輪の縁だからです。

乾いた布で、輪の外側まで含めて広く撫でます。これで境目がぼやけます。あとは使ううちに、手の脂が全体に回ってなじみます。

やってはいけないのは、全体をもう一度濡らして均一にしようとすることです。乾き方の差で、今度はもっと大きな輪ができます。

種類4|角とコバの擦れは、扱いが違います

財布で最初に白くなるのは、たいてい縁の部分です。ここは面の傷と分けて考えます。

コバは塗り直せます

コバとは、革を切った断面を磨いて仕上げた部分です。ここには塗料や樹脂が塗られています。

ポケットへの出し入れで擦れ、この層が先にはがれます。下から出てくるのは革の断面ですので、白く毛羽立って見えます。

ここは専門店で磨き直し、塗り直しができます。数千円で見違えることが多い部分です。5つの傷の中では、いちばん復旧しやすいところになります。

角の白化は、戻りにくい

角は面と面が交わる場所です。革が薄く引き伸ばされたうえ、何かにぶつかる回数がいちばん多くなります。

擦り傷と同じで、撫でれば少しは戻ります。繊維まで削れている場合は戻りません。

ここは深追いせず、そのまま使うことをおすすめします。角の白さは、その財布をどれだけ使ったかの記録でもあります。

種類5|深い切り傷は、自分では触らない

革の断面が見えるほどの傷、めくれて持ち上がっている傷。この段階は、手を出すほど悪くなります。

やりがちなのは、持ち上がった部分を接着剤でとめることです。乾くと硬くなり、周りとの段差がそのまま固定されます。専門店に持ち込んでも直しにくくなります。

写真を撮って、修理を扱う店に見てもらってください。裏から革を当てて縫う、部材ごと交換するといった選択肢が出てきます。

道具は、結局3つで足ります

道具使いどころ要否
柔らかい乾いた布擦り傷・輪ジミ・普段の拭き取り必須
馬毛ブラシ縫い目やコバのほこり払いあると楽
コードバン向けのクリーム乾きが気になるときだけ年に数回

この3つ以外は、傷の手当てには使いません。

買わなくていいもの

  • 消しゴム型のクリーナー(磨いた面ごと削ってしまいます)
  • 紙やすり(コードバンには使いません)
  • 色を塗り足す顔料タイプの補修剤(光沢の質感が合いません)
  • 防水スプレー(かけ方を誤るとムラが残ります)

売り場には、傷に効きそうな商品がたくさん並んでいます。コードバンに関しては、道具を増やすほど失敗も増えます。

やりがちな失敗、4つ

失敗何が起きるか代わりにすること
水をつけた布で拭く輪ジミが増える乾いた布で撫でる
クリームを塗り重ねるべたついてほこりを呼ぶ米粒ほどを年に数回
力を入れてこする磨いた面が曇る力を抜いて10往復
ドライヤーで乾かす革が縮んで硬くなる日陰で丸1日置く

いちばん多いのは、1つ目です。

汚れも一緒に落とすつもりで濡れた布を使い、傷は残ったまま輪ジミだけが増えます。コードバンに水を使う場面は、ほとんどありません。

3つ目も見落とされます。傷を消そうとして力が入るのですが、強くこするほど表面の光が鈍っていきます。撫でる程度で十分です。

傷は、つく場所と場面が決まっています

手当てより先に効くのが、つく場面を減らすことです。同じ場所に傷が増える方は、ここを読んでください。

傷がつく瞬間

場面何が当たるかできること
ズボンのポケット縫い目の金具、鍵上着の内ポケットへ移す
カバンの中ペン、ファスナーの引き手仕切りのある場所に入れる
レジ前カウンターの角、他人の荷物台の上に置かず手に持つ
車の中キーの先端、ドリンクの水滴ドアポケットに放り込まない

いちばん効くのは1行目です。腰から胸に移すだけで、傷も折り目の負担も減ります。

持ち物によって、傷のつく場所が違います

持ち物傷がつく場所よくある原因
財布角とコバポケットの出し入れ
名刺入れ開口部の縁名刺を出すときの爪
キーケース内側の面鍵の先端が当たる
コインケース底の角小銭の重みによる擦れ

キーケースは対策がはっきりしています。鍵の向きをそろえて閉じるだけで、内側の傷はかなり減ります。

名刺入れは、爪ではなく指の腹で名刺を押し出す癖をつけると、縁が長もちします。

直すか、そのまま付き合うか

お金をかける価値があるのは、次の3つです。

  1. コバのはがれ(塗り直しで見違えます)
  2. ステッチのほつれ(放っておくと隣の糸まで広がります)
  3. 深い切り傷(自分で触ると悪化します)

逆に、表面の擦り傷や角の白化で修理に出すのはおすすめしません。かかる費用に対して、見た目の変化が小さいためです。

まず、買ったブランドに聞く

自社製品の修理を受け付けているブランドが多くあります。使われた革も縫い方も分かっているため、仕上がりが揃います。

受け付けていない場合は、革製品の修理専門店へ。問い合わせのときに「コードバンです」と最初に伝えてください。牛革とは扱いが違うため、断られることもあります。

見積もりのときに伝えること

  • 傷の種類(擦れているのか、削れているのか、切れているのか)
  • いつ、どうやってついたか
  • 仕上げの種類(水染めか、シェルコードバンか)
  • 写真は斜めからの光で撮る(正面から撮ると傷が写りません)

直さない、という選択

ここまで手当ての話をしてきましたが、直さない判断も同じくらい大事です。目安として、こう分けています。

状態どうするか
機能に関わる(縫い目、ファスナー、コバ)直す
見た目だけ、光の角度で見える程度付き合う
同じ場所に繰り返しつく使い方を変える

抜けやすいのは3つ目です。同じ場所に傷が増えるなら、直しても同じことが起きます。

3年経つと、同じ傷の見え方が変わります

私のコードバンの財布にも、買った年についた擦り傷が何本かありました。当時は光にかざすたびに気になったものです。

3年経った今、どこにあったのか思い出せません。周りの色が濃くなり、艶が深まって、傷のほうが沈んだからです。

今日の傷は、3年後の表情の一部になります。慌てて削ったり塗り重ねたりしたぶんだけ、その表情は平らになっていきます。

次に買うとき、傷の付きにくさで選ぶなら

買い替えや2本目を考えている方へ、傷という一点だけで選び方を書きます。

選ぶところ傷への強さ引き換えになるもの
濃い色(黒・バーガンディ)白い傷が目立ちにくい色の変化は見えにくい
薄い色(キャメル等)擦り傷が白く目立つ色が育つ楽しみは大きい
水染め仕上げ傷が周りとなじむ水ジミは出やすい
顔料仕上げ表面は傷に強い剥がれた場所は戻らない
コバが磨き仕上げはがれる層がない擦れると毛羽立つ

傷を最優先にするなら、濃い色の水染めが扱いやすいところです。

そのうえで見ておきたいのが、誰がその革を磨いたのかという点です。同じコードバンでも、磨きの深さで擦れたときの戻り方が変わります。

その磨きを手がける会社が、自ら財布まで仕立てています。内装に選んだ革の話まで、【UNIQUEON-ユニコーン-】の公式サイトで読めます。

よくある質問

傷は放っておけば自然に消えますか

浅い擦り傷なら、使っているうちにかなり分からなくなります。手の脂と摩擦が、起き上がった繊維を寝かせてくれるためです。削れてしまった傷は消えません。

消しゴムタイプのクリーナーは使えますか

すすめません。あれは表面を軽く削って汚れを落とす道具です。コードバンは磨いた面そのものが命ですので、削ると光沢が戻らなくなります。

クリームで傷は埋まりますか

埋まりません。クリームは油分を補うもので、欠けた繊維を足すものではないためです。塗ると一時的に色が濃くなり、目立ちにくくなるだけになります。

修理代はどのくらいかかりますか

内容によって幅があります。コバの塗り直しやステッチの縫い直しは比較的手頃で、革を当て直す作業になると上がります。写真を送って見積もりを取れる店が多いので、まず聞いてみてください。

新品のうちに保護剤を塗っておくべきですか

必要ありません。コードバンは仕上げの段階で蝋が入っています。買ってすぐ塗ると、その上に膜が重なるだけです。乾きを感じてからで間に合います。

ジーンズの色が移ったのですが、傷でしょうか

傷ではなく色移りです。コードバンの表面は染みを吸いにくいぶん、移った色は上に乗っています。乾いた布で早めに拭くと落ちることがあります。時間が経つと難しくなります。

まとめ

  1. 傷は5種類。分かれ目は、磨いた表面の層が削れているかどうか
  2. 表面の擦り傷は、乾いた布と指の脂でほとんど戻る
  3. 削れた傷と角の白化は戻らない。目立たなくするところまで
  4. 輪ジミは傷ではない。広く撫でて境目をぼかす
  5. 水で拭く、クリームを塗り重ねるが二大失敗
  6. 深い切り傷は触らず、斜めの光で写真を撮って相談する

傷を見つけた日は、たいてい何かしたくなります。その日にできる最善は、乾いた布で撫でて、あとは普段どおり使うことです。

3年後にその財布を出したとき、目に入るのは傷ではなく、傷を含んだ艶のほうになります。

使い込んだ革を見せてもらえる場所を知っておくと、自分の財布の3年後も想像しやすくなります。

職人の手元まで公開している作り手として、【UNIQUEON-ユニコーン-】の公式サイトを覗いてみてください。

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